里山の可能性を広げるフレンチ「mikangura」

私が臼杵市にUターン移住をして起業する際、最も重要視したのが「これまでの臼杵市には無かった商品やサービスを提供する」という点でした。午前中に整体施術にいらした方に無料で朝食をサービスしたり、県下でも珍しい海外のビンテージ雑貨を販売しているのはその一環でもあります。

そういったこともあって、これから移住してくる人たちにも、私は密かに「臼杵に無い物を提供して~」(←自分が楽しみたい)といつも期待を寄せています。

数か月前に雑貨見学に若いご夫婦がいらっしゃいました。いろいろお話をお伺いすると

「実は臼杵に移住してきて、この秋にフレンチレストランを藤河地(臼杵の山側の地名)でオープンするんです」

とのこと。表向きは「そうなんですか、それは楽しみですね」と平静を装っていましたが、心の中では「待ってました~!!」と喜びに沸いていました。しかも「田舎でフレンチレストラン」という、私の中では実験的にさえ思えるテーマに興味津々。

「オープンしたら是非取材させてください」

ということで、オープン後間もない素敵なレストランにお邪魔させていただきました。

今回は、移住実践情報と共に、素敵なレストラン自体やお料理もご紹介。臼杵の里山の可能性を広げてくれそうな予感がするフレンチ「mikangura」をご案内いたします。


まさに里山!自然と人が共存する実験的立地

「実験でも何でもありませんよ。」

とオーナー夫妻である渡邉さんには怒られてしまうかもしれません。

フレンチレストラン「mikangura」は臼杵市街地から車で15分程度の藤河内という場所にあります。その風景はこちら↓

山に囲まれ、稲刈りを終えた田んぼが眼前に広がるのがレストラン前の風景です。田んぼの脇には川もあり、綺麗な水を活かして昔から農作業が行われてきた、まさに「里山」。

昭和~平成中期くらいまでは、「お店を出すなら町なかに」というのが臼杵的考えだったと思いますが、敢えて山の中で大成功している店の経営スタイルを見てきた都会からの移住者たちは、その概念に縛られることはありません。むしろこの静けさや自然の美しさを「非日常の贅沢」と捉える方も多いのです。

看板に従い坂を上がると農家の母屋が見えてきます↓

軽自動車などは店舗前に。大き目の自動車は事前に駐車場の確認を

平屋の母屋を住まいにして、隣接する「みかん貯蔵蔵」をレストランとして改装した「mikangura」がこちら↓

入り口のドアなどを作ったくらいで、見た目は以前と変わらない外観。サスティナブルが光るそのインテリアを見てみましょう。

古い物を使い続ける「サスティナブル」な改装

最近よく聞く「サスティナブル」とは「持続可能な」という意味です。環境問題などでよく使われる言葉ですが、空き家を改装し、過疎化地域に人がやってきてその地域の生活、経済、環境を維持する「移住」そのものが私にとっては身近なサスティナビリティーです。

mikanguraの改装は、まさにサスティナビリティーを地でいっています。

入り口のドアを入ると、下の写真の客席エリアに。漆喰は少し塗りなおしたそうですが、天井はほぼそのまま。元々この場所には軽トラなどが入って、写真左にある3つの貯蔵庫への荷移しなどを行っていたそうです。↓

全5テーブルの店内。予約はしていったほうが確実

写真奥にある棚も、この蔵に元々あったもの。インテリアとして活用しています。

今回、私は義妹を連れ食事もしたのですが、確保していただいた席はまさに貯蔵倉庫↓

この部屋の天井のこういった素朴さに心惹かれます↓

まさに祖父母の家の納屋の天井がこんな感じだったのです。

同じく元貯蔵蔵だった現厨房↓

厨房の漆喰部分はなんとそのまま利用。全然汚れていないのです。

オーナーの渡邉さんにこの部屋の元々の写真を見せていただきましたが、中央が少し狭い通路になっていて、その両脇には背丈以上の高さになる木製のみかん貯蔵棚がビッシリありました。私はその「古さが美しい」木材の行方が気になったので尋ねてみると

「活かせるものは活かしましたよ。」

と嬉しいお答え。その棚板を活かした一例がコチラ↓

トイレに隣接する手洗い場ですが、この鏡の外枠。実は貯蔵棚のケースの一つをまるまる再利用しているのです。凄く可愛いですよね。

その他、倉庫の棚板を壁板に再利用していたりしているので、どういったものを素敵に再利用しているのか、来店の際は是非インテリアにも注目してみてください。

目も舌も大喜び!心躍るフレンチ

それではそろそろmikangura渾身のお料理に話を移しましょう。

10月8日にオープンしたばかりということもあり、先週来店した際にはなんと食前のドリンクが1杯サービス。

義妹は運転があったので悔しがりましたが、私はシャンパンをいただきました↓

すきっ腹にゴクゴクいったのですぐ顔が真っ赤になりましたが、このシャンパンは食前にぴったりの美味しさです。気分が上がってきたところで、全5皿のコースメニューに入ります。

まずはアミューズ。コースの最初なので、オーナーシェフの渡邉さんはお客さんに「お!」と言っていただきたいという気持ちを込めたのでしょう↓

臼杵市民には馴染み深い「きらすまめし」。しかし、おからは使わずにアフリカン・パスタのクスクスを使用しています。シャンパンのせいで少し記憶があやふやですが、爽やかに生姜が薫ったような気がします。味付けはきらすまめしをベースにしながらも、さっぱりとしたサラダ感覚。「お!」となりました。

次は、見た目は王道フレンチながらも大分県産食材にこだわったオードブル↓

女子はこういう絵画チックな一皿に惹かれます。ソースも3種類あって、ニジマス、ビーツ(赤カブ)、ナス&炭。ベースになる味や色彩が全部異なり、一つ一つを楽しむことができます。中欧やロシアなどではビーツをスープに使用することが多く、私はあの甘いスープが苦手なのですが、ソースとしてなら全然OK。煮凝りのようにまとめた「ニジマスとナスのアスピック」ととても合うソースでした。

義妹大絶賛。「こんなスープ食べたことない!」と感動していたのが「栗とセロリラブのポタージュ」です。

日本ではあまりセロリラブを食べることはありませんが、イギリスやヨーロッパでは結構食べられています。セロリの根の部分で大きさは拳3倍くらい、見た目は「石」のような野菜で、味はまさにセロリ。イギリスに居た時は大体スープかローストで食べていたのですが、これと栗を合わせる、というのは素敵な驚き。栗のお陰でとろみと雑味の無い甘さが出て、義妹と一緒に「これ、3杯くらい食べたいねー」と二人で最後の一滴まで綺麗にいただきました。

メインは鶏肉でしたが、折角だったのでPoissonも別途注文。この時、義妹は何やらニヤニヤしながら

「ポイズンだって!何が出てくるのかな」

と危険な翻訳をしていましたが、フレンチのコースでは「poisson=ポワソン=魚料理」です。「毒」を盛られることはないのでご安心を。

そのポワソンがコチラ↓

この日は「エイ」でした。焼き加減も抜群だったのですが、ここでもやはりソース!焦がしバターにケイパーズ(植物の蕾の酢漬け)とカボスジュースを加えた爽やかソース。これは絶品でした。いろいろなお料理に合いそうなので、私も今度作ってみようと考えています。


同じくメインのハーブ鶏↓

鶏肉に付けて食べるきのこのホワイトソース煮込みが最高なのです。「フレンチってソースだなぁ」と改めて思うメイン2品でした。

最後はデザート↓

南瓜のローストをクリームチーズと南瓜のモンブランで挟んだ秋のデザート。南瓜の甘さを活かした甘すぎないスイーツでした。

大分県内の素材を活かした素敵で美味しいお料理の数々を堪能した贅沢な時間。

ランチコース(1,800円)にはパンと、コーヒー又は紅茶が付きます。毎月料理内容が変わるそうなのでチェックしてまた出かけようと思います。

Mikanguraにはもちろんお料理やその空気感を味わいに出かけたいですが、それとは別に移住者の一人として、私はその可能性にも注目しています。過疎化が進む里山に、今後こういった飲食店や雑貨店などが増えていく可能性もあります。もしそういう起業人たちがこの集落にどんどん集まってきたら、それは特色と魅力の溢れる独特な里山になると思うのです。

「起業家が集まる里山」

そんな場所のmikanguraは原点になっていくのかもしれません。


【mikanguraの基本情報】 住所:大分県臼杵市大字藤河内1996番地 電話:0972-72-1284 定休日:水曜日 営業時間:(ランチ)11:00~14:30、(ディナー)17:30~21:30 ウェブサイト:フェイスブック、インスタともに「mikangura」で検索