100年繋がるごはんとご縁

以前、ケレシュの建物(下の写真)は「クランク・イン!」という喫茶店として使用されていました↓

ご縁が広がる築85年のケレシュの店舗

残念ながらその当時私はまだ県外にいて、帰省した時も実家の洋食店の手伝いなどでなかなか時間が取れず、一度も訪れることができませんでした。その喫茶店を経営されていたのは、臼杵で2本の映画を撮影した大林宣彦監督。そして監督の長女・大林千茱萸(ちぐみ)さんは、ドキュメンタリー映画「100年ごはん」でこの建物を撮影場所の一つとして使用されました。


今回は千茱萸さんに繋がるご縁と、先日初対面をした時のイベントの様子について書いていこうと思います。

Uターン移住を考えるまでよく知らなかった「ほんまもん野菜」

2018年の1月から本格的にUターン移住に向けて情報収集などを始めましたが、8月まで「ほんまもん野菜」というものを知らずにいました。

「ほんまもん野菜」は、臼杵市の「子供の給食に使用する野菜を全て有機野菜にしよう」という壮大な目標達成のために作られている野菜です。人口の少ないこの町を担う子供たちを健康面から立派に育てたい、という他の自治体では見られない取り組みです。


「そこから!?」と驚かずにはいられませんでしたが、臼杵市はほんまもん野菜を作る土壌を製造する「臼杵市土づくりセンター」まで建てたのです。

センターで作られる「うすき夢堆肥」と呼ばれる土は、草木80%、豚ぷん20%。これを6か月かけて完熟させます。そしてこの土で作られた野菜が「ほんまもん野菜」と呼ばれるのです。


この野菜に出会ったのが昨年8月に行われた移住ツアー「うすきおためし暮らし」で訪れた野津町の農産物直売所。金色のシールがほんまもん野菜の印の一つ。他にも緑色のシールがあり、それぞれ少し違った規定があります↓

有機野菜なのにこの激安度!

通常の野菜の値段とそれほど変わらない臼杵市のほんまもん野菜。以前住んでいた関東エリアでは、こんな値段でまず有機野菜を買うことはできません。味もコクがあるというか、しっかりしたお野菜なのです。とにかく臼杵市民は食に関して凄く贅沢な環境にあります。


古民家と大林千茱萸監督とほんまもん野菜

さて、前述した大林千茱萸監督とケレシュのお店がある古民家を繋げたものは、もちろんお父様の宣彦監督の流れもあるのですが、ほんまもん野菜にもその一因はあります。

前の臼杵市長・後藤國利氏から、この「ほんまもん野菜」への取り組みを記録してほしいと大林千茱萸監督に依頼があったのです。約4年間の撮影を約1時間のドキュメンタリー映画にまとめたのが「100年ごはん」で、主人公の「ワタシ」の家が現在のケレシュのお店なのです。

映画に登場するのは1階の台所部分と中庭、そして2階で民泊に使用している部屋になります。ちなみに木もあった中庭部分は、私が入居する前に雨漏りが酷かったため補修し、現在は商品の陳列コーナーになっています↓

私の事業「ケレシュ」をオープンさせる前にあった中庭

庭としての機能が失われたため、現在は商品の陳列コーナーに

大林千茱萸監督と初対面

このような経緯から、私は是非一度大林宣彦監督と千茱萸監督にお会いして「あそこの建物、今私が使ってるんです。」とお伝えしたいなぁ、と考えるようになりました。

一方で昨年末、現在旅行記事を寄稿しているLINEトラベルjpのライター仲間の方から

「私、千茱萸さんとは知り合いなんですよ」

という連絡をいただいて

「こんなに世の中狭けりゃ、案外早くお会いできるかも」

と思うようになったのですが、6月2日、遂にその時が来ました。


元々甥の8才の誕生日リクエストが「新作ゴジラを観たい」というものだったので、6月1日と2日は休みを取って出かける予定でした。そこへ「100年ごはん」の上映会イベントの告知を発見したのです。仕事も休みだしこのチャンスはまたとない、ということで参加しました。


イベントで「うすき夢堆肥」をドーンと置いた千茱萸監督のブース。10kgで300円という嘘みたいな値段↓

イベントで初対面した大林千茱萸監督

サインもお願いしてドキュメンタリー映画「100年ごはん」の裏話などが書かれた監督の書籍「未来へつなぐ食のバトン」も購入。只今鋭意熟読中↓

大林監督の手は、手話を元に造語した「I love you」を意味する

初めて観た「100年ごはん」ですが、臼杵に住む食いしん坊としてはとても興味深いし、映画の最後のお食事会的なもの!

「あ~っ、参加したい!!」

と思わずにはいられないほどの美味しい画でした。


上映会後にはほんまもん野菜で作った臼杵の郷土料理「黄飯とかやく」の軽食付き。映画の中で主役だった野菜を上映会で食べるという、「100年ごはん」ならではの斬新なプログラムです。作ったのはこれまた不思議なご縁で、私の兄・山男Mの同級生Y君。臼杵市で「ポルト蔵」という飲食店を経営されています。

ほんまもん野菜で作られた臼杵市の郷土料理「かやく」と「黄飯」

美味しい軽食後には再度千茱萸監督のトーク。このイベントには臼杵市から来られている方も多く、千茱萸監督とご縁ができた方を次々とご紹介していきました。その中には私が臼杵市で起業した際にお世話になった臼杵市役所の産業促進課の課長さんや、現在ほんまもん野菜を作っている移住者で「地域おこし協力隊」の山田茉莉子さんも↓

ほんまもん野菜の生産者の一人、山田茉莉子さん

山田さんのお話を聞くと、なんと私が移住前に住んでいた埼玉県狭山市からも近い坂戸市からいらしたとのこと。これも新しい縁だなぁ、と感じイベント後にご挨拶させていただきました。


100年繋がるご縁を大切に

このようにケレシュのお店の建物が起点となって広がった私のご縁。100年繋がる食材を作ることはできないけれど、人とのご縁は何かしらの形で今後も繋がり、もしかしたら100年続くかもしれません。


私の両親は臼杵市で洋食店を創業し、そのお店は今年48才。両親が築いてきたご縁は、私の整体のお客さんにも繋がっていて、たくさんの方が私の両親や洋食店の事を知っています。私は100年後この世にはいませんが、私の姪や甥の子供が私と繋がる人々とのご縁に遭遇するかもしれません。また、この古民家を大切に残していけば、ここに100年後住む人たちが家を通して私と繋がることもできるのです。

「いろいろなご縁を大切にしていこう」。映画「100年ごはん」を観てそんなことを考えています。


イベントから帰宅後

イベントで千茱萸監督にいただいた色紙(右)とお父様の宣彦監督にいただいた色紙(左)を並べてみました。

額縁に入れてケレシュの店舗で近日公開予定!

お父様の色紙は、私の母K子・74才が猫と父と隠居生活に入る前、監督が実家の洋食店で食事をされた際にお願いして書いてもらったものです。母は当時

「ちゃんとした色紙がねぇなぁ・・・もうこれでお願いしてもろうて!」

と自分では頼まず、私に紙袋の中敷き的な厚紙を渡し依頼させたのです。

ちなみに監督はとてもユニークな方で、食事をしていただいただけでなく

「このお店東京に出したら?凄く売れると思うよ。」

とビジネスアドバイスまでしてくれました。

こんな変な紙でもその広さを映画への想いで埋めてくださった監督に感謝!


母は「アンタの家にこそこの監督の色紙(←色紙じゃない)は貼られるべき」とごもっともな意見を述べてくれて私にこれを譲ってくれました。近々、千茱萸監督の色紙と一緒に額縁に入れて店舗内に飾ろうと思っています。大林宣彦・千茱萸両監督のファンの皆さま、臼杵市にお立ち寄りの際はぜひこの色紙を見学していってくださいね。


私も皆さんとの新たなご縁を楽しみにしています。