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今こそ行きたい!「大分県立海洋科学高等学校」(後編)

臼杵市には日本全国に46校しかない水産系高校の一つ「大分県立海洋科学高校」(以下、海洋)があります。

「水産系高校って何するところ?」

と謎もたくさんありますが、夢もたくさん!

30数年前に普通科に通った私には目からウロコの選択肢がいっぱい。

子育て世代の移住検討者に送る、臼杵市の高校レポート(後編)です。

仏舎利塔も見える海洋高校の校舎

2)目指すは船長!「航海コース」

海洋には3つの専門コースがあり、2週間前に更新した前編では水産物の生産・加工・流通を学べる「食品コース」についてレポートしました。


今回は、実際に海上で働く学生多数の2コースについてレポートします。

まずは、「航海コース」。


航海コースは、まさにその名の通りで、航海士になる為に必要な「海技士試験」の勉強をします。3年の学業で得られる受験資格は五級・四級となっており、筆記と口頭試問があります。四級を取得すると、

1)沿海 5000トン未満

2)近海 500トン未満

3)遠洋 200トン未満

規模の船長になることができるのです。


海図を読む勉強、レーダーシミュレーターを使用した操船練習など、専門的な学習の他に、2年次の9~11月には翔洋丸という大型実習船に乗り、ハワイまで約3か月の長期航海実習を行っています。

3/16に実習から帰ってきた翔洋丸を激写!

漁業船に乗って水産業に従事する卒業生もいれば、旅客フェリー会社、タンカーなどの海運会社に就職する人も。また、国家公務員として海上保安庁や水産庁で働くという進路もあり、海上就職の幅広さも魅力です。

レーダーシミュレーターで操船を学ぶ実習室

そして、このご時世で魅力的なのが収入面です。

私が大学を卒業した1996年当時、4年制大学卒の平均的な初任給は20万円位だったと思います。約30年経った今の平均的な大卒初任給でさえ未だ21.7万円という日本の低水準給与ですが、航海コースと後述する機関コースに関しては、初任給が4大卒の初任給より上を行くところがほとんどだそうです。

しかも休日以外はほとんど海上の為、浪費する場所がありませんし食事も支給。結婚して家庭を持つまで、実家をベースに船に乗る人がほとんどなので、とにかく給与は貯まっていくそうです。


夢を追う若い世代にはまだピンとこないかもしれませんが、そのうち直面するであろう「自宅」「子育て」といった将来的に必要な資金を考えるとこれは大きな魅力です。

移住を検討している子育て世代の皆さま、重要ポイントです。

取材時は丁度受験前。広々とした教室で自習をする学生たち。

3)船の心臓を動かし続ける!「機関コース」

機関士、機関長。私がはじめてその言葉を聞いたのはアニメの「宇宙戦艦ヤマト」だったと思います。敵から被弾すると一番危険な目に合うのが機関部のキャラクターたちで、エンジンや蒸気が唸る中、汗だくになりながら命がけで船を動かし続ける・・。「機関」にはそんな印象があります。


もちろん現代の船の機関部にはアニメほどの危険性は無いと思いますが、相変わらず大きな音と高温の中での作業に変わりはないようです。そんな船を動かす機械の専門家になるための学習が機関コースでできます。


機関部を動かし続けながら、故障個所を修理・整備をしていく機関士の仕事。海洋での3年間で取得可能な資格・進路・就職先・収入面は航海コースと同じような感じとなっています。海上で働く人もいれば、陸上で修理が必要な船のメンテナンスなどを行う仕事もあるでしょう。機械が好きな人には堪らない職になることでしょう。


ちなみに機械というと男性の仕事のようなイメージがありますが、女性も近年では増えてきているそうです。

私が高校生の時に「男女雇用機会均等法」という法律ができて、雇用における男女平等社会が公に始まりました。30年以上経った今、「男性カラーの職場」というイメージはいろいろな職に未だあると思いますが、機械好きな女性はそれに臆せず、どんどんこういう進路を選んでいっていただきたいと思います。


4)更なるスペシャリストに!「専攻科 航海コース・機関コース」

高等学校卒業後、さらに高度な資格取得を目指すために、同じ海洋の校舎で学べる2年課程へ進学することができます。

臼杵に住んでいたのに、そんな専門課程があったなんて、市民の私も全く知りませんでした。


そして驚くのは、専攻科の1年次は全てが乗船実習!2年次の乗船は3か月で残りは教科学習となります。この長期の乗船期間は三級海技士資格を取得するために必要な乗船履歴なのですが、もはや「学校感覚」ではなくインターンシップ的。実践に即した訓練なのでしょう。ちなみに、一般的な内航船(国内航路)の船長資格は三級があればOKとなります。専攻科に進む意義は、まさに自分が乗る船の幅を広げるという点にあります。


同時に普通教育に関する科目も2年次に座学で履修しなければなりません。例えば英語に関しては「海事英語」。さらに上の二級海技士の試験には英語の試験があり、海外航路に出るにはこの資格が必要となるのです。


海洋の卒業生としては稀だそうですが、現在日本の企業に勤め、赴任という形で海外の航路に出ている卒業生もいるようで、やはり二級海技士を取得しているそうです。専攻科で三級を取得してその後海外航路を目指すなら、実地で乗船履歴を積みながら並行して受験対策をすることも。

海外で働きたいと思う若者が減ってきていると言われる昨今ですが、もしそういう夢を持っている人がいたら、船での専門職を活かして海外で仕事をする、という選択肢もあります。

私は魚も(←食べるという点で)海も海外での仕事も好きなので、10代の時に進路相談の先生にそんな話をされたら考えたかもしれません。

翔洋丸の撮影時、寄港していた地中海の島国・マルタ共和国のタンカー船。海外は夢も膨らむ

「海外に特に興味はない。むしろ臼杵をベースに仕事をしていきたい」

という人にも専攻科の魅力は十分にあります。

三級海技士を取得した後、5年以上の海上経験で水産系高校の先生になることもできます。母校で教鞭をとることができるというのも凄く素敵な仕事だと思います。

津久見島も見える海洋の校舎。ここで教鞭をとることも選択肢の一つ

また近年実習船翔洋丸の乗組員は定年退職が続いていて、乗組員も募集しているそうです。翔洋丸の乗組員であれば臼杵港をベースに乗船できるので、敢えて「地元に残りたい」という人たちにはこういった将来を描くこともできるわけです。


いかがでしたでしょうか?簡単にはなりましたが、2回にわたり、臼杵市にある大分県立海洋科学高校をご紹介しました。子育て世代の地方移住では教育環境も悩む点だと思います。臼杵市には4年制大学や短大、看護大学などを目指すような普通科高校(県立臼杵高等学校)もあれば、海洋のような海の専門職に就くための高校もあります。興味のある方は移住の下見に来られた際に、事務局で学校資料をいただいたり、質問があれば聞いてみるのも良いのではないかと思います。


とりあえず私は食いしん坊なので、食品コースの加工物をゲットする為、11月の海高祭(学祭)にはぜひ出かけてみようと思っています。

魚の泳ぐ方向へついていくと、海洋高校の正門へ

<大分県立海洋科学高等学校>

〒875-0011 大分県臼杵市大字諏訪254-1-2

TEL:0972-63-3678

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