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移住者は語る! 「そよふく農園」髙松さん一家

2018年8月19,20日に参加した移住者向けモニターツアーについて、「野津編」「臼杵編」と、以前2回に分けてご紹介しました。今回はその時に体験した「農泊」で滞在させていただいた、野津町の髙松さん一家について。実はこちらの一家も県外からの移住者で、野津町では農業に従事されています。どんな流れで臼杵市に来て、どんな生活をされているのか、農泊体験と共にご紹介します。


福島県の原発事故を境に北から南へ

そよふく農園の髙松一家

2016年3月に臼杵市に移住してきた髙松さん一家。ご夫婦は埼玉県の出身で、特にご主人の賢さんの親御さんは私が今住んでいる狭山市に隣接する市に在住されているとのこと。世の中本当に狭い!長女の小6ふうちゃん、長男の小3かい君という二人のお子さんがいる仲良し4人家族です。

大分県臼杵市にやってくるまでを語る髙松夫妻

お二人の農業歴は福島県から始まります。福島県で農業研修を受け、その後栃木県で新規就農したものの、東日本大震災で福島原発の脅威にさらされます。九州人にしてみたらちょっと福島と栃木の距離感がつかみづらいですが、私も都内で震度5強(←床に座り込んでも振り回されるほど)を体験し、福島原発の放射能は埼玉県まで飛んできました。その影響で狭山市のお茶屋さん(狭山茶で有名な土地です)が数件店を閉じたほどです。栃木県の農業も脅威にさらされて当然の立地になります。


夫妻は岡山県への移住を決意します。しかし岡山では「水はけが悪く、乾けばガチガチ」という土と5年間も我慢比べのような生活をしたのですが、全く光の見えない土壌だった為、他の土地を探し始めました。

そして参加した臼杵市の「移住モニターツアー」で野津町の土との出会いを果たします。


「自然農」ってナニ?

有機農法が盛んな臼杵市ですが、夫妻は「自然農」という大分県では珍しいスタイルで生産を行っています。現在埼玉で直売所の野菜を爆買いする私も、「自然農」という言葉を生まれて初めて聞きました。

自然農とは「土を耕さず、草や虫を敵とせず、農薬、化学肥料を用いない農法」らしいのです。畑を耕さないので機械も使用しません。草は抜かずに必要に応じて刈り、虫の亡骸などと一緒に積み重なることで自然の営みに合わせて豊かな土壌となっていくのです。

お二人の自然農の畑がコチラ↓

そよふく農園 自然農の畑

エライ広大な畑!ここで50種類以上の農作物を、しかも全部手作業で生産しているから驚きです。「腰はやられるけどその他は元気」と畑をみせてくれた奥さんの美恵さん。毎日自然農の野菜を食べているからでしょうか、本当に元気です。畑に上がってくるまでに心臓がバクバクした私は、まるで化学肥料を取りすぎた野菜。反省。

畑は一見ボサボサな感じもしますが、作物の自然な成長を邪魔せず力強く育てているという証のような気がします。


農泊のお宅は広かった!

髙松夫妻も移住前に参加したモニターツアー。その時に出会った空き家を移住時に賃貸し、後に購入したそうです。写真の正面が母屋で、左が2階に部屋のある離れ。写真には写っていませんが、母屋の右側にはナント蔵まであります!

地方移住の農村空き家

今回泊まらせていただいた母屋のお部屋がコチラ↓

大分県臼杵市に移住

薪ストーブまであってビックリです。私の実家がある臼杵市街では冬にマイナスになることなどまずないですが、賢さん曰く「今年の最低気温は-7℃でした」とのこと。同じ臼杵市なのにウソみたいな話です。

写真のように美恵さんが厚い布団を出しておいてくれて命拾い。翌朝5時ごろブルブル震えてタオルケットから布団へ滑り込むことになりました。もう一度言いますが、農泊体験をしたのは8月19日です。


母屋にはこの部屋の他、広めのLDKと子供の勉強部屋、寝室x1があります。前述のように離れの2階にも部屋があるので4人には十分すぎる広さ。都会暮らしと比較すると、ここが地方移住の大きな利点です。

ちなみに屋根などの大規模補修は必要なく、内装で手を入れた部分は主に薪ストーブの設置と台所の床くらいで、そのほとんどをDIYで行ったそうです。DIYが得意な人やヤル気のある人は地方移住費用もかなり安く抑えられるかもしれません。

野菜尽くしのディナーが美味しすぎ!

食いしん坊の私にとって夜ご飯はかなり楽しみでした。その期待を裏切らない野菜尽くし!

5つの大皿に盛られたのは

① 野菜の天ぷら(紫ささげとモロヘイヤ)

② ナスとししとうの揚げびたし

③ 野菜の生春巻き

④ キュウリと春雨の酢の物

⑤ 空心菜の炒め物

という「自然農料理」でした。作物には新鮮さから来るものだけではない「ハリ」があります。例えば紫ささげの天ぷらは、しっかり火が通っているのにそのコリコリとした食感が病みつきになるほど。またお米がビックリするほどモチモチしていて程よい甘さ。これまで「野菜だけのディナー」というのをとったことが無かったのですが、「また食べたい」と思わせる素材の良さでした。


大盛り朝うどんを食べる

翌朝、ブルブル震えた後に二度寝して、次はなんだかおじさんっぽいブツブツ言う不気味な話声でお目覚め。恐る恐るカーテンを開けて外を見ると、ブツブツ喋り犯が農園の鶏だったという光景↓

そよふく農園の鶏小屋

現住地の狭山市では航空自衛隊の飛行機が真上をブンブン飛んでいるのと対照的に、野津町は驚くほど静かな環境だったので耳もおかしくなったのかもしれません。


その日が夏休みの登校日だった子供たちを見送りがてら散歩に。

大分県臼杵市野津町の自然

夏にこの川で子供たちは普通に泳ぐそうです。家から徒歩1分で泳げる川があるなんて羨ましい限り。そんな感じでブラブラしていると家の方から

「ふ~じ~た~に~さーん!」

と美恵さんが大声で呼びに来ました。

「早く、早く、うどんが伸びちゃう!」

え、うどん?そんなに急がなくても・・と思いましたが、用意されていた朝食がコチラ↓

自然農の手打ちうどん

なんと、自家製の手打ちうどんだったのです!そりゃあ急がないと伸びますよね。手打ちは時間が勝負!傍らに例の鶏の温泉卵や自家製の薬味も。写真では分かりづらいかもしれませんが、この土鍋、家族用の4~5人前の鍋料理で使うような大きさ。鳴門うどんの「鍋焼きうどん・トリプル」みたいなサイズです。

「ああ、お二人もご飯まだなんですね。」

と言うと

「私たち、もう食べましたよ。」

と衝撃発言。

「えーっ!これ私一人の量ですか!?」と驚きながらもかなり美味しそうな平打ち麺だったため、「もしかしたら全部いけるかも・・」とみなぎる自信と溢れる食欲→案の定完食。 実に美味しかった・・。喋る鶏の温泉卵と混ぜたときはフィレンツェのカルボナーラがフラッシュバックしてきたほど。

食後はお豆を挽いてから淹れてくれたコーヒーを美味しくいただきました。あー最高。

農泊での朝食

現在、髙松夫妻はそよふく農園で収穫する作物と農泊で生計を立てていらっしゃいます。お子さんの通う野津町の学校環境や良い土に出会えたことなどで今の生活にはほぼ満足されているとのこと。

「地方移住をしたら農業をやってみたい」という方は、臼杵市の移住モニターツアーとスケジュールが合わなくても、そよふく農園のようなところで2食付きの農泊をして移住体験を聞いてみるのもお勧めです。農泊に関しては下記の関連リンクからどうぞ。


次回は今年最後の記事になります。毎週水曜日の予定ですが、12月26日(水)は臼杵市に帰省していてアップできるか不安なので(←注:臼杵のネット環境をディスっているわけではなく、過酷なスケジュールの為)、23日(日)にアップ予定です。最後までどうぞお付き合いください!


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