ちょうど昨年の今頃、臼杵市は「ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化)」への加盟が認定され、市民はまだどういうことなのかよく分からないながらも「ユネスコの何かに登録された」と盛り上がっていました。
当時、私も二度に渡り「ユネスコ創造都市ネットワーク」とは何なのか?移住者がどんな職業でその利点を活かせるか?ということを記事にしました。
ブログ内でも説明しましたが、ユネスコ創造都市ネットワークは加盟されたら終わり、ではありません。その後の活動がかなり大変で、臼杵の食文化を市民が継承し発展させることが重要になります。そのためには市民レベルでの「生活」を主軸とした活動が必要なのです。
今回は、「ユネスコ」と聞くと何だか大きなものに思えますが、実は市民(市外の方)でも気軽に体験できる「臼杵の食文化」を、11月に行われたイベントを参考に見ていきたいと思います。
食べて体感!臼杵の醸造食文化を味わう「うすき食フェス」
11月5日~30日まで行われた「うすき食フェス」。毎年春と秋の2回行われます。
私が臼杵にUターン移住した時は、臼杵の飲食店が八町大路に集まり、1日だけ行われるフードフェスでしたが、コロナ禍で大人数が集まるイベントが難しくなった時に、各飲食店を巡るスタンプラリー形式に変わりました。また、臼杵カラーを出すために、「臼杵の発酵食品(味噌・醤油・麹など)を使用したオリジナル料理」とテーマが設定され、各飲食店が工夫を凝らしていました。
昨年は私も色々なお店の料理を食べたのですが、今年は食フェスに参加していた実家レストランの手伝いや自分のお店が忙しく、食べに行くことができませんでした。残念。ちなみに私の実家レストランは、地元の味噌とデミグラスソースを合わせたソースを使った「洋風鉄板みそかつ定食」を提供しました。
飲食店は新メニューへのチャレンジもできて勉強になりますし、お客さんも「こんな使い方ができるのか」と驚かれることも。お互いに日々の料理に活かすことができる臼杵の食文化を体験できたと思います。
例年通りであれば、次回はGWを含む期間に行われると思います。この時期は酒蔵のイベントも重なるので、お酒好きな方にはなおのこと臼杵の醸造文化を体験していただきたいと思います。情報チェックはお忘れなく!
器と醸造文化のマリアージュイベント「陶芸と」
11月19日に行われイベント「陶芸と」。タイトルにもあるように「作陶した器で臼杵の食を楽しんでください」というイベント。
3部構成となっていて、今回は作陶と麹がコラボします。
① 作陶
② 塩麹&醤油麹つくり
③ 麹料理を実食
を90分で行うという充実の内容!早速イベントの様子を見ていきましょう。
作陶体験
作陶講師は野津町にあるエラン工房の陶芸家・薬師寺さん。
私も薬師寺さんのマグカップのファンで、素朴で長く愛用できる作品揃いです。
今回は手びねりで器を仕上げていきます。
参加者のなかには以前行われた陶芸イベント経験者もいて、作り始めでも躊躇ありません。
「100均などで売っているものを使っていろいろな模様もできるんですよ」とデザインアイデアも教授。
それぞれの個性が光ります。
完成したものはエラン工房で焼き上げ、2か月後位に発送されるとのこと。
自分の器で食事ができる日が楽しみですね。
陶芸体験は野津にあるエラン工房でも行っています。記事末の【関連サイト】にある薬師寺さんのインスタグラムから、陶芸体験の情報などご確認ください。
塩麹&醤油麹つくり
次に登場したのが九州で一番古い味噌醤油会社「カニ醤油」12代目蔵元の可児さん。
先日朝日放送の「朝だ!生です旅サラダ」でカニ醤油が紹介されたあと、問い合わせの電話が増えたそうなのですが、やはり「カニの入った醤油をください」という定番勘違いが。
可児さんがやってる会社でカニ醤油という名前になっています。どうぞお間違えないよう。
さて、可児さんは「麹ってなんだ?」というところから、麹の色々を教えてくれます。同時に参加者は塩麹と醤油麹300グラムずつも作っていきます。
「醤油麹なんか麹に醤油がひたひたになるまで入れるだけ。簡単やろ?」
と12代目のいう通りあっという間に両方完成。
あとは1日1回かき混ぜると10日後くらいにはいい塩梅の麴調味料が完成します。
私も醤油麹は家に常備しているのですが、半年物位がベストな仕上がりになることを実体験で学んでいます。どこの高級品かと思うくらい絶品の醤油になるのです。
カニ醤油では味噌・醤油はもちろん、生麹も買うことができます。
実はこれは全国的に見てもなかなか珍しいことだと言えます。生麹の活性力は10日を目安にどんどん弱まっていくため、スーパーにある麹はほぼ100%乾燥麹。しかし生麹で作る甘酒や醤油麹は、乾燥麹で作るそれとは段違いの美味しさになります。その生麹を日々直接蔵元から買えることがどれほど贅沢な事か・・・。臼杵、大好き。
ちなみに、カニ醤油で生麹を買うときには、甘酒、醤油麹、塩麹の作り方を書いたメモも貰うことができます。蔵元直伝の麹レシピ。どうぞ日々の生活に取り込んでみてください。
実食!麹料理
最後はカニ醤油の塩麹や醤油を使ってのお料理紹介。
現在「臼杵焼」の工房で活躍する陶芸家の尾崎さんは料理人としての一面があり、今回の麹料理を担当。取材して驚いたのは、尾崎さんも移住者(2021年移住)という事実!
サーフィン場所と古民家を求めて神奈川県から移住先を探し、最初は宮崎県で検討(←サーフィン目的)していました。しかしなかなか思い通りの古民家が見つからず、北上した臼杵でいろいろ出逢ったというから、移住活動って面白いなぁと思います。
元々神奈川でも陶芸家として活動されており、臼杵で希望に近い古民家が見つかったことと、臼杵焼にも出逢ったことがポイントだったそうです。
臼杵でもサーフィンをしている方は多く、その時は宮崎(特に日向)に皆さん行っているようです。
「サーフィンは宮崎にたまに行けばよい」という方は、片道約1.5時間で日向のサーフビーチに着くので、生活を臼杵にしても無理はないかなと思います。
さて、そんな尾崎さんが作ってくれたのはこの3品。
手前から「鶏肉の塩麹ソテー」「醤油麹の味玉子」「塩麹の浅漬け」。
特に鶏肉のソテーでは、塩麹に漬けたものと普通にソテーしたものを食べ比べ。やはり柔らかさが全然違いますし、旨味が増していると思います。薬味は別として、塩麹に漬けこむ以外に全く調味料を使っていないので、これほど健康にいいものはありません。
作陶し、お土産の塩麹と醤油麹を300グラム作り、しかも食事付き。90分という短いながらも楽しいイベントだったと思います。
今後も臼杵の食文化に関連するイベントは行われていきますが、詳細は下記【関連サイト】にある食文化創造都市臼杵のホームページでご確認ください。移住検討者も下見のスケジュールと合わせて、機会があれば是非参加してみてくださいね。
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