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臼杵市民「ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化)」をどう活かすか?

先週のブログでは、臼杵市が加盟認定された「ユネスコ創造都市ネットワーク」というものがどういうものなのか?どういった点が要因で加盟認定されたのか?ということについて書いてみました。


臼杵市役所がもの凄いスピード感で推し進めた加盟申請が約1年という短期間のうちに認められたのは、やはり食に関わる臼杵の歴史・伝統・これまでの市民の生活に根付いた活動が背景にあったからだと思います。


一方、この加盟認定をもってその活動が終わるわけではありません。

先週も触れたように、この臼杵市の食文化を市民が守り、普及・発信し、発展させなければこの加盟認定も取り消される可能性があるのです。

その審査は4年に一度、オリンピックのようにやってきます。


しかし、ユネスコの一大事業ネットワークに加盟された事実は大きく、ビジネスや市の未来において大きなチャンスになることは間違いありません。

「ユネスコ創造都市ネットワーク」の加盟によって、人口約36,000人しかいないこの田舎町でも移住するに値する可能性がこんなにある、というそのポイントを考えてみたいと思います。


目指すは日本の「食都」!?美味しい楽しい城下町を描く

食いしん坊な私自身、経営する雑貨店の商品買い付けにヨーロッパやアメリカに行くときは必ず3-4日自由時間を作り、行ったことのない土地を旅します。その目的地の条件に必ず組み込むのは「魅力ある食」です。


例えば2014年の買い付け時はそれこそ食の都・スペインバスク地方のサン・セバスチャンでバル巡り。

一皿400~600円位のピンチョが所狭しと並ぶバル

2016年はフィレンツェでチーズとジェラートの食べ比べ。

1スクープ150円位なので何軒も食べ比べてみたいジェラート屋

2018年はスコットランドでガストロパブ巡り。

料理に力を注ぐガストロパブは「イギリスはマズい」を払拭!

ヨーロッパでも「美味しい」と言われる町ではやはり食旅のテーマとなる何かが必ずあるのです。


前述したサン・セバスチャンでは「パブ巡り」というものが一つのテーマとしてあるのですが、その中にはキーとなる食材・料理・飲み物が存在します。例えば乾燥鱈を戻して使う鱈料理(オムレツやスープなど)は必食。チャングロ蟹のピンチョや「チュレタ」と呼ばれる牛肉の炭火焼も絶品です。

バルはその地の名物料理+独自料理で各店舗のカラーを出す

飲み物であれば地産のシードル(アップルサイダーのアルコール版)やチャコリ(白ワイン)は何杯でも飲めてしまう軽さ。


一方臼杵市はどうでしょう?

「ユネスコ創造都市ネットワーク(食文化)」に加盟認定されたことで「食旅の目的地となる町」を堂々とアピールすることができます。

ではキーとなる食材・料理は?となればフグやブリなど海鮮は外せません。

「割烹 みつご」の豪華お刺身盛り(予算に合わせて盛ってくれます)

もちろん、日本料理に合わせていきたい日本酒や焼酎も地元の酒蔵4社がカバーします。


また、化学肥料を使わない「ほんまもん野菜」もキー食材の一つ。市内にも地産野菜を使用する飲食店が増えてきています。


これらのキー食材や料理を活用した「ユネスコ創造都市ガストロツアー」(←勝手に命名)で、「食の観光客」を今後呼び込んでいくことも必要な活動となるでしょう。


こんな移住者ウェルカム!?【その1】飲食業界人

ここからは「こういう職業の移住者は臼杵市という場所が利に働くのではないでしょうか?」ということを考察していきます。


まずは、食のど真ん中「飲食業界人」。

前述したようにほんまもん野菜を上手に活かした飲食店は臼杵市内に少しずつ増えていますが、まだまだ日本料理屋さんのように多いわけではありません。

近年オープンした、ほんまもん野菜も取り入れる里山フレンチ「mikangura」

また、醤油・味噌・酒類というものを上手に活かしたお店もまだまだ少ない状態。


既にたくさんある部類のお店ではなく、こういった開発途上分野の飲食店、しかもお店独自のメニューや商品を持つお店を出店できる方は、臼杵市では先駆のお店として稀有な存在になれるのではないでしょうか?


こんな移住者ウェルカム!?【その2】宿泊業界人

元々臼杵市は残念なことに宿泊客が多くありません。お昼は臼杵の石仏や城下町観光をさささーっとして、夜はやはり温泉のある別府に行ってしまうのです。結果、宿泊施設がそれほど多くありません。


しかしこれからは違います。臼杵が「ユネスコ創造都市ガストロツアー」の目的地になったからには、その食を満喫するために夜もいなければいけないことに多くの方が気づくはずです。だって、海鮮も野菜も、料亭文化もスナック文化もあるのですから。夜を含む数日かけないとそれら全てを観光と共に体験できないのです。


そうなると「泊るところが少なすぎる」ということになるのです。

「地方に移住してゲストハウスをしたい」

というようなことを考えている方には、臼杵は開拓地として魅力的な町だと思います。

来年再開予定!筆者の経営する民泊「USUKI TRAVEL GUIDE」の朝食風景

こんな移住者ウェルカム!?【その3】農業人

近年「地方移住をして農家になりたい!」という若者は多いと思いますが、臼杵市は既にそういう方たちの受け入れ先として定評のある自治体です。なぜなら有機農業分野で「地域おこし協力隊」の募集を行っており、定収入を得ながら農業の勉強ができる任期というのが3年間きちんとあるからです。

もちろん、任期後には「有機農家として独立する」という誓約があるので、興味のある方は臼杵市役所の「協働まちづくりグループ」で詳細をご確認ください。

移住ツアーで見学した、野津町で農業をする移住者の畑

また、臼杵市には「アグリ起業学校」という農業学校があり、ピーマン栽培を1年間無料で学ぶことができます。

ピーマン栽培はJAの販路が確立されていることなどからも安定した収入が見込め、地方移住をして農家をしたい方の取り掛かりとしてはおすすめです。


「ユネスコ創造都市ネットワーク」で地産食材を使用するお店も増えていくであろうことから、生産者として携わっていくことも地方移住の醍醐味と言えます。


こんな移住者ウェルカム!?【その4】旅行業界人

最後に「地方移住してその地域の魅力を世界に発信したい!」という人は、この地で旅行業を始めてはいかがでしょうか?


「ユネスコ創造都市ガストロツアー」はそれを企画運営する人が必要です。日本語だけではなく多言語で、アフターコロナのインバウンドを視野に入れたダイナミックな旅行会社があっても良いかと思います。2019RWCの時のように外国人にも臼杵のことを知ってほしいと思います。


そんな企画力とダイナミックな仕事ができる方は、この臼杵市に住んでこの町の魅力を体感し、臼杵市民としてこの町の魅力発信に尽力してみるのもおすすめです。

2019RWCの際、筆者に加え姪と甥も観戦に連れて行ってくれた豪からの宿泊客。まるで祖父母と孫

紹介した以外にも、私が考え付かないようなお仕事で臼杵を発信できる人がたくさんいると思います。今からの臼杵にはそういう方が絶対必要。そして個人や企業などがどんどん増え、結果的に雇用や人口が増えてくれれば市民としては言うことなしです。


「ユネスコ創造都市ネットワーク」への加盟が、将来的に多様性のある町づくりや過疎化の歯止めになることを祈って、私も何かしらその活動に加担できればと思っています。


【関連サイト】

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