12月1日から始まった臼杵市の「ふぐ割」。以前にも触れましたが、臼杵市のふぐ割参加店でふぐ料理を食べると、半額又は上限5000円の補助が出るという未だかつてない企画です。
臼杵市に18歳までしかいなかった私は、実はそれほど臼杵のふぐ料理を食べたことがなく、この機会にどうしても行きたかったお店にチャレンジすることにしました。
今回のブログは、臼杵市の老舗料亭「喜楽庵」について。当初はふぐ料理のコース内容について触れようと思いましたが、女将に聞いた喜楽庵の歴史が面白く、そっちに重点を置くことに。肝心のふぐコースについては、寄稿している「LINEトラベルjp」でグルメ記事として製作する予定です。こうご期待!
創業明治11年!始まりは掛町から
人口が36,000人を切っている臼杵市ですが、以前からブログで何度も書いているように飲食店がめちゃくちゃあります。私の実家も来年50周年を迎える洋食店ですが、その他に居酒屋から割烹まで歴史のあるお店が数多くあり、どこもコスパが素晴らしいのです。
加えて、こんな小さな町に3軒もの料亭があるのですから、私は臼杵市がスペイン・バスク地方にある美食の都・サン・セバスチャンに勝るとも劣らないグルメな町だと思っています。
歴史あるお店の中でもひと際古い歴史を持つのが、今回ご紹介する料亭「喜楽庵」。創業は明治11年です。その始まりは、現在の臼杵市掛町!今私のお店がある界隈だったのです。
掛町は長さ約350メートルの川沿いの町で、この道は江戸時代からほぼ変わっていません↓
河口から近い立地の為、掛町界隈はその昔「うおんたな(魚ん店)」と呼ばれ、魚市場をはじめ、海産物関係のお店がひしめいていました。私が子供だった昭和50年代には、ここに乾物屋さんが何軒もあったことを覚えています。
そんなエリアに初代・山本文七氏が店を出したのが現在の喜楽庵の始まりなのです。
旧臼杵藩主・稲葉家ゆかりの品々
喜楽庵の赴きある広い玄関には異彩を放つ古い屏風があります↓
実はこの屏風、臼杵のお殿様ゆかりの品なのです。
旧臼杵藩主の稲葉家ですが、その藩祖は今期のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」にも齊藤道三の有力家臣として登場した稲葉一鉄の息子、稲葉貞道。明治時代の廃藩置県後に東京に移り住んだ稲葉家は、なんと嫁入りに使用された駕籠から調度品まで多くの品々を臼杵市に遺しました。喜楽庵にもそのお殿様ゆかりの品々が間近に見られる場所に飾ってあるのです。
屏風の他にも古い調度品があるので、お食事の途中などで仲居さんや女将に尋ねてみると楽しいお話を聞くこともできますよ。
建物自体が文化財級
喜楽庵の歴史的魅力の一つに、その建物自体を挙げることができます。
前述したように掛町で創業し、その後商業の一等地だった本町(八町大路)に場所を移しました。臼杵市民にその場所を説明するなら「マルショクがあったところ」と言えば分かりやすいでしょうか。現在は本町のちょうど真ん中あたりにある有料駐車場の場所です。
政財界の著名人から現在の天皇や秋篠宮殿下までお迎えした歴史ある料亭のロビーには、2代目・文吉氏の時に移転した本町の建物前で、政財界の重鎮たちが記念撮影をした写真も飾られています。
その後、現在の「稲葉家下屋敷」を本館とし、「別館米山邸」(現在の喜楽庵)を別館にし二つの建物で営業を行っていました。平成元年にこの2館を統合し、現在に至っています。
別館米山邸だった現在の喜楽庵の建物は、大正元年の建築↓
写真では分かりづらいのですが、全面に広がるガラス一枚一枚が建築当時の物で趣のあるゆらゆらガラス。「大正元年から一枚も割れていない」というから驚きです。
今回、ふぐコースを堪能したのは、このお庭が眺められるお部屋の一つ。
この建物には、当時物の古い梁や欄間がそのまま使用されているので、建築に興味のある人はもしかしたらお食事どころではなくなり建物ばかり眺める羽目になるかもしれません。
また、お部屋も利用人数によって分けられており、グループの人数によって使用できます。
喜楽庵では、この古い建物を今後数十年保存していくために、数年前に大掛かりな改装工事を行ったそうです。数十年後、この建物自体が町の文化財的価値になっていくのだと思います。
憧れのふぐコース
「お料理については別途の記事で」と書きましたが、さすがにゼロで終わることはできません。ほんの少しですがコースの一部「てっさ」をご紹介します。
驚くなかれ、これで一人前の量です!
臼杵で食べる刺身はとにかく鮮度が命!ふぐも同じで、新鮮さをその色や食感で堪能してください。箸で数枚すくう、なんてことができないくらい一枚の厚さがしっかりあるんですよ。
こうやって薬味を包むとこれで一口。
あとのコース内容は、後日お知らせする「LINEトラベルjp」での掲載をお待ちくださいね。
喜楽庵の歴史を簡単にご紹介した今回のブログ。本当はまだまだ語りつくせないほどの歴史がこの料亭にはあるのですが、本1冊分になりそうなので、また機会があればテーマに沿ってご紹介していきたいと思います。
もしこの冬「喜楽庵」を訪れるなら、その歴史や建物の素晴らしさも是非堪能してみてください。
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