私が経営している整体院にはいろいろなお客さまがいらっしゃいます。仕事、趣味、生活スタイルなどまさに十人十色で、マッサージ中にその方たちのお話をお伺いするのは結構楽しみでもあります。
埼玉に居たときに、あるお客さまが熱弁していたのは「シダ植物」。全くシダ植物なんかに興味は無かったのに、知り合いからシダ植物散策に誘われたのをきっかけにシダ植物の虜に。当時は市営公園の清掃バイトをしていたのですが、その目的は園内のシダ植物探し。休みの日には東京郊外の多摩地区にまで「シダ旅」に行っていたのです。
このように、ある人にとっては「何でそんなことにハマっているんだろう?」と思われることが、ある人にとっては人生最大の情熱対象だったりするので「人生って面白い!」と思わずにはいられません。
台風最接近を翌未明に控えた9月5日。買い物ついでに町をブラブラしていると、雨のせいで豊かに輝く緑色の一角が。シダ植物に魅せられたお客さんのように私もついつい吸い寄せられてしまいました。
本日は花や緑が好きな人におすすめの臼杵散策「うすき苔旅(八坂神社編)」をレポートします。
八坂神社とは? これまでにも何度かブログ内で登場した「八坂神社」。
元は975年に福島県で祀られていた祭神を、戦乱(後三年の役)から逃れてやってきた臼杵で神社を建て神幸を始めたのが現在に繋がる八坂神社の始まり。
明治4年までは「祇園社」と呼ばれその後八坂神社と改称したため、未だに「ぎょんさま(祇園様)」と呼ぶ人も多い。
臼杵の夏を彩る祇園祭はこの神社の神幸祭となります。
この歴史ある神社、境内の鳥居を一歩くぐると苔ワールド!
鳥居は石でできているのですが、なかなか清掃できない上部には苔が付いているし、境内の大木には枝に至るまでビッシリ苔が付いているのです。
地面は砂利があるため灰色ですが、木だけ見ると屋久島のようなワイルドさ。
こうなると「どんな苔が生えているんだろう?」と私も気になるし、苔ファンならさらに気になると思うのでアップ目の写真でご紹介していきます。
八坂神社の苔ワールド
ここからは大石善隆氏著「苔三昧(2015)」を参考書籍として、八坂神社の苔の世界を見ていきたいと思います。何せ苔初心者。写真を見ても見分けがつかないことが多々あるので、「違うよー」というときは温かい修正メッセージをお願いいたします。
台風前の雨の日だったので、苔も生き生きしています。特に前述した大木にある苔たちは必見です。
写真のように神社の木々はご神木クラスの大木が多く、表面に出ている根も巨大!
綺麗に緑のじゅうたんを敷き詰めている感じです。
本を見てみると、木の幹に生えやすい苔として紹介されている「コモチイトゴケ」というのがあり、多分これじゃないかなぁと思います。市街地の木の幹に生えていて、ツヤがあるのだそう。
また、石に生える苔として注目していただきたいのが撫で牛↓
私が子供の時はよくこの牛によじ登っていたので(←決してマネしてはいけない)、当時は全く苔など無かったのですが、そんな罰当たりな子供のいない昨今では苔むすばかり。目の周りの凹凸にも苔が入り込んでメイクをしているかのようです。
お尻の部分に苔がたっぷりあり、見てみるとこんな感じです↓
似たような苔が多くてなかなか見分けがつきませんが、多分エダツヤゴケ。
おそらくこの苔も何年もかけてこの形になったのだと思います。
角度を変えてみてみると剥げそうな部分も。
「苔旅」のブログ記事を真面目に書くようになったら、自分で苔玉も作ってしまいそうです。
念のため読者の方にも確認ですが、寺社仏閣、公園などでの自然観察は多くの場合で自由だと思いますが、許可なく持ち帰ってはいけません。石ころ一つでもその場が所有しているものですし、植物に関しては自然破壊にもなります。苔など欲しい場合は所有者に確認していただき、剥がすときはそれが生えている建築、植物を傷付けない相応の道具や配慮が必要です。くれぐれもご注意ください。
あっちこっち苔だらけ
その他にも八坂神社では素敵な苔風景に出逢えます。
こちらは手水舎(ちょうずや)↓
アップにしてみるとこんな感じ↓
ちなみに、八坂神社の苔むした木々、石、石像には写真の葉っぱが群生しています。これは「ノキシノブ」という葉っぱで「軒忍」と書くのですが、全然忍んでいる感じはしません。ボーボー生えていて、この様もなかなか見ごたえがあります。特に参道の木々のノキシノブは怖いくらい伸びています。必見。
苔見学のあとは神々を参拝
歴史ある八坂神社。ここには境内社が4つあり建早須佐之男命(たてはやすさのおのみこと)や櫛稲田姫命(くしいなだひめのみこと)などの神々が祀られています。
本殿の彫刻なども見事なので、神社そのものもゆっくり見学してみてくださいね。
【参考書籍】
臼杵市史編さん室編集「臼杵市史」(平成4年発行)
大石善隆著「苔三昧」(2015年岩波書店刊)
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